少年にわが子を殺された親たち

少年にわが子を殺された親たち (文春文庫)

少年にわが子を殺された親たち (文春文庫)

少年犯罪によって子供を失った6家族のお話。事件そのものよりも、事件後の家族の動向を両親を軸にクローズアップしていて、さながら裁判記録。少年犯罪は刑事で裁く事が出来ないからせめてもの手段で民事で訴える。命とイコールで結べない損害賠償額が確定しても支払わない加害者やその両親たち。すごいよね、自己破産申請をして賠償を逃げるとか、連絡も無く支払いをストップする加害者家族がいるという現実は。汚い言い方をすると、損害賠償額なんてたかが知れてるのよ。数百万〜数千万。大体は数百万レベル。億単位の賠償が認められることはレアケース。それを支払わないというのは、一体どういう了見なんだろう。少年犯罪は複数犯であることが多いからそれも加害者意識が希薄になっている理由のひとつであり、「更生」「加害者の将来」という責任逃れのような言葉を盾に、被害者家族は苦悩するのでしょう。死んでしまった少年は、未来が無くなってしまったというのに。
少年が加害者であることにより、被害者の当然の権利が守られない現実と、少年犯罪において「事実」を知る事がどれほど時間の金と執念が必要なのか。そしてどんなに時間が経過しても、笑えるようになったとしても傷が癒えることはないのでしょうね。